GF e-side
純情エゴイストへの愛を散らかし中。
2008'08.15.Fri
珍しく、付き合い始めたばかりの頃の二人の話です。
ヒロさんが俺に触れる時、いつも一瞬の躊躇いが生まれる。
その事に気付いたのは一体いつ頃だっただろう。
ヒロさんから触れて来るという事が滅多にないから、それが嬉しくて、それに気付かなかった自分の迂闊さを呪う。
もしかして、怖がられているんじゃないかと不安になったけど、俺が触れるのを嫌がっているようには見えないし、その一瞬さえ過ぎてしまえば、俺の体を抱きしめてくれる腕に躊躇いはない。
じゃあ、どうして?
滅多に気持ちを言葉にしない人だから、その表情や反応で気持ちを汲み取るしかない事は、決して長いとは言えない付き合いの中で学んだ。そして、きちんとヒロさんの気持ちを分かっていると思っていた。でも、それは俺の自惚れだったのか?
(あ…まただ…)
とろけそうな顔をしたヒロさんが、俺の頬を包もうとして両手を伸ばす。
そんな顔をしている時でさえ、躊躇うのは何故ですか?
キスを求めてくれるのは、俺の事が好きだからではないんですか?
俺、何か嫌われるような事しましたか?
「どうして……」
「え…?」
ねだられるがままにキスを落としながらも、頭の中の疑問を追い払う事は出来ずに、つい言葉を零してしまった。
「ヒロさん、俺に触りたくないんですか?」
「なんで…」
「いつもヒロさん、俺に触る時、躊躇うから…」
「ちが…っ」
自分で言った言葉に、少し傷付く。俺がヒロさんに触れると幸せになるように、ヒロさんにも同じように思ってもらいたいのに。
ヒロさんが発したのは否定の言葉だったけど、瞳には戸惑いの色が浮かんでいる。真意を探ろうと、真っ直ぐ瞳を捉えると、視線を外されてしまった。それは肯定の意味なのかと勘ぐり、また心が沈みそうになった時、ヒロさんが小さく言葉を発した。
「……言っただろ。こういうの、慣れてないって…。自分からどうやって触っていいかわかんねーんだよ。つーか、恥ずかしい事言わせんな!」
顔を真っ赤にしたヒロさんが言葉を紡ぐのを見て、ストンと得心がいった。
ヒロさんは、触れる事が怖いんだ。自分が触れた時に、俺がどんな反応を示すかを不安に思っている。
躊躇いながら触れ、俺の反応を見て安心して、やっと自分の想いを遂げる。
なんて不器用で、なんて愛しい人なんだろう。
詳しくは知らないけど、ヒロさんは今まで想うばかりで、想われる事に慣れていなかったという。だから、俺はヒロさんに想われる事に慣れて欲しかった。俺がどんなにヒロさんを想っているか、知って欲しかった。何度も想いを口にしたし、態度でも示して来たつもりだった。
でも、まだまだ、想い足りない。
ヒロさんに、俺が想っている事を伝えるだけでなく、ヒロさんの想いを俺にぶつけて欲しいと伝えたい。
「ヒロさん」
いつの間にか離れてしまっていたヒロさんの手を取って、再び俺の頬にあてる。その手に俺の手を重ねると、ヒロさんが一瞬緊張するのが分かった。
「俺、ヒロさんに触るとすごく幸せになるんです。もっと触れて、もっと幸せになりたいと思ってしまいます。ヒロさんにも、同じように思って欲しいです」
ヒロさんの手を、ぎゅっと頬に押し当てる。
「もっと、俺を感じて下さい」
一瞬驚いた顔をして、瞬時に真っ赤に染まる顔。
頬に触れるヒロさんの手が熱を持ち、顔を引き寄せられてキスをする。
こうやって、ヒロさんに求められる事がとても嬉しい、とヒロさんに伝わって欲しい。
もっともっと俺を想って欲しい。
ヒロさんの想いは俺が全部受け止めます。
ヒロさんが不安にならないように、俺もあなたの事を想います。
俺、ヒロさんを想う気持ちなら誰にも負けませんから。
Fin.
--
想われる事に慣れていないと言っていたヒロさんですが、ずっと想いを秘めていたので、想いを伝える事も慣れていなかったと思います。野分がヒロさんを目一杯想う事で、ヒロさんも安心して野分を想えるようになればいいな、と。
その事に気付いたのは一体いつ頃だっただろう。
ヒロさんから触れて来るという事が滅多にないから、それが嬉しくて、それに気付かなかった自分の迂闊さを呪う。
もしかして、怖がられているんじゃないかと不安になったけど、俺が触れるのを嫌がっているようには見えないし、その一瞬さえ過ぎてしまえば、俺の体を抱きしめてくれる腕に躊躇いはない。
じゃあ、どうして?
滅多に気持ちを言葉にしない人だから、その表情や反応で気持ちを汲み取るしかない事は、決して長いとは言えない付き合いの中で学んだ。そして、きちんとヒロさんの気持ちを分かっていると思っていた。でも、それは俺の自惚れだったのか?
(あ…まただ…)
とろけそうな顔をしたヒロさんが、俺の頬を包もうとして両手を伸ばす。
そんな顔をしている時でさえ、躊躇うのは何故ですか?
キスを求めてくれるのは、俺の事が好きだからではないんですか?
俺、何か嫌われるような事しましたか?
「どうして……」
「え…?」
ねだられるがままにキスを落としながらも、頭の中の疑問を追い払う事は出来ずに、つい言葉を零してしまった。
「ヒロさん、俺に触りたくないんですか?」
「なんで…」
「いつもヒロさん、俺に触る時、躊躇うから…」
「ちが…っ」
自分で言った言葉に、少し傷付く。俺がヒロさんに触れると幸せになるように、ヒロさんにも同じように思ってもらいたいのに。
ヒロさんが発したのは否定の言葉だったけど、瞳には戸惑いの色が浮かんでいる。真意を探ろうと、真っ直ぐ瞳を捉えると、視線を外されてしまった。それは肯定の意味なのかと勘ぐり、また心が沈みそうになった時、ヒロさんが小さく言葉を発した。
「……言っただろ。こういうの、慣れてないって…。自分からどうやって触っていいかわかんねーんだよ。つーか、恥ずかしい事言わせんな!」
顔を真っ赤にしたヒロさんが言葉を紡ぐのを見て、ストンと得心がいった。
ヒロさんは、触れる事が怖いんだ。自分が触れた時に、俺がどんな反応を示すかを不安に思っている。
躊躇いながら触れ、俺の反応を見て安心して、やっと自分の想いを遂げる。
なんて不器用で、なんて愛しい人なんだろう。
詳しくは知らないけど、ヒロさんは今まで想うばかりで、想われる事に慣れていなかったという。だから、俺はヒロさんに想われる事に慣れて欲しかった。俺がどんなにヒロさんを想っているか、知って欲しかった。何度も想いを口にしたし、態度でも示して来たつもりだった。
でも、まだまだ、想い足りない。
ヒロさんに、俺が想っている事を伝えるだけでなく、ヒロさんの想いを俺にぶつけて欲しいと伝えたい。
「ヒロさん」
いつの間にか離れてしまっていたヒロさんの手を取って、再び俺の頬にあてる。その手に俺の手を重ねると、ヒロさんが一瞬緊張するのが分かった。
「俺、ヒロさんに触るとすごく幸せになるんです。もっと触れて、もっと幸せになりたいと思ってしまいます。ヒロさんにも、同じように思って欲しいです」
ヒロさんの手を、ぎゅっと頬に押し当てる。
「もっと、俺を感じて下さい」
一瞬驚いた顔をして、瞬時に真っ赤に染まる顔。
頬に触れるヒロさんの手が熱を持ち、顔を引き寄せられてキスをする。
こうやって、ヒロさんに求められる事がとても嬉しい、とヒロさんに伝わって欲しい。
もっともっと俺を想って欲しい。
ヒロさんの想いは俺が全部受け止めます。
ヒロさんが不安にならないように、俺もあなたの事を想います。
俺、ヒロさんを想う気持ちなら誰にも負けませんから。
Fin.
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想われる事に慣れていないと言っていたヒロさんですが、ずっと想いを秘めていたので、想いを伝える事も慣れていなかったと思います。野分がヒロさんを目一杯想う事で、ヒロさんも安心して野分を想えるようになればいいな、と。
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