GF e-side
純情エゴイストへの愛を散らかし中。
2008'09.17.Wed
誕生日なmuさんにプレゼントと称して、勝手にmuさんの9/2のイラストから話を妄想してみました。10代野分と20代野分の対比がすごく好きなんです!muさんの10代野分への愛は誰にも負けないような気がします。お誕生日おめでとうございますv
* * *
「勉強を教えて欲しい」と言って俺のところに通っていた頃の野分の顔には、まだまだ幼さが残っていた。もう働き始めていた事もあって、同年代の奴に比べて大人びた言動をとる事もあったが、無防備に寝ている顔なんかは子供のようで、可愛いと思う事すらあった。
なのに、今はどうだ。
元々高かった身長を更に伸ばし、顔つきも精悍になり、いつの間にか、出会った頃の俺の歳を抜かしていた。
以前は、野分がベタベタして来ても一喝して蹴り飛ばす事ができたはずだ。今は、名前を呼ばれて、あの目で見つめられ、あの手で触れられると抵抗できなくなる。
いつから俺はこんなに野分に対して弱くなったのかと考えたが、俺が弱くなったのではなく、野分が強くなったのだ。
野分の変化は外見だけでなく内面にも見られる。人なつこい笑顔は変わらないが、昔はこんなに感情の変化は見られなかった。あまり表情にも出さないで淡々としているので、本気で何を考えているのか分からない事が度々あった。
昔の俺なら、野分が怒ったり、焦ったり、怒鳴ったりするなど考えられなかっただろう。だけど、今の俺はそんな野分の姿を知っている。そして、その感情は、全て俺に向いている事も。
野分が変わったのは俺のせい、というか俺の為。
年下のくせに俺の事を守りたい、だなんて生意気だ。
と思うと同時に、嬉しいようなくすぐったいような気持ちになってしまうのは、俺もどうかしている。
「…ヒロさん、何考えてるんですか?」
野分の言葉で我に返る。
目の前には、今にも俺を押し倒そうとしている野分の顔がある。仕事から帰って来たばかりの俺は野分に捕まり、そのまま寝室に連れ込まれたのだ。
「なんでもない…。というか、なんだこの手は!離せっ」
俺を抱きかかえている野分の手を払おうと試みるが、離れるどころか逆に引き寄せられてしまう。俺を見つめる瞳の中に色気を感じ、不覚ながらドキリとする。
「俺といる時に、俺以外の事、考えないで下さい」
…お前の事を考えてたんだよ、アホ。
そんな表情をするから、昔の事なんか思い出してしまったんじゃないか。
「着替えるから離せって…」
「着替えるんなら丁度いいじゃないですか。俺が脱がせてあげます」
しれっと言う野分は楽しげに笑みを浮かべている。昔はもっと可愛げがあったはずなのに…。
この余裕に腹が立つ。俺だけが翻弄されているみたいではないか。
「……おい。誰が脱がせていいと言った…」
当然のように俺の服を脱がせようとしている野分に一応の抵抗をしてみせるが、きっとこのまま流されてしまう自分の事が分かっていて悔しい。
俺が本気で抵抗しているわけではない事もお見通しの野分は手を止める事もせずに、小さく笑う。
その笑い方に、昔の野分の面影を見た気がして、なんとなく安心してしまう自分がなんだかおかしかった。
Fin.
「勉強を教えて欲しい」と言って俺のところに通っていた頃の野分の顔には、まだまだ幼さが残っていた。もう働き始めていた事もあって、同年代の奴に比べて大人びた言動をとる事もあったが、無防備に寝ている顔なんかは子供のようで、可愛いと思う事すらあった。
なのに、今はどうだ。
元々高かった身長を更に伸ばし、顔つきも精悍になり、いつの間にか、出会った頃の俺の歳を抜かしていた。
以前は、野分がベタベタして来ても一喝して蹴り飛ばす事ができたはずだ。今は、名前を呼ばれて、あの目で見つめられ、あの手で触れられると抵抗できなくなる。
いつから俺はこんなに野分に対して弱くなったのかと考えたが、俺が弱くなったのではなく、野分が強くなったのだ。
野分の変化は外見だけでなく内面にも見られる。人なつこい笑顔は変わらないが、昔はこんなに感情の変化は見られなかった。あまり表情にも出さないで淡々としているので、本気で何を考えているのか分からない事が度々あった。
昔の俺なら、野分が怒ったり、焦ったり、怒鳴ったりするなど考えられなかっただろう。だけど、今の俺はそんな野分の姿を知っている。そして、その感情は、全て俺に向いている事も。
野分が変わったのは俺のせい、というか俺の為。
年下のくせに俺の事を守りたい、だなんて生意気だ。
と思うと同時に、嬉しいようなくすぐったいような気持ちになってしまうのは、俺もどうかしている。
「…ヒロさん、何考えてるんですか?」
野分の言葉で我に返る。
目の前には、今にも俺を押し倒そうとしている野分の顔がある。仕事から帰って来たばかりの俺は野分に捕まり、そのまま寝室に連れ込まれたのだ。
「なんでもない…。というか、なんだこの手は!離せっ」
俺を抱きかかえている野分の手を払おうと試みるが、離れるどころか逆に引き寄せられてしまう。俺を見つめる瞳の中に色気を感じ、不覚ながらドキリとする。
「俺といる時に、俺以外の事、考えないで下さい」
…お前の事を考えてたんだよ、アホ。
そんな表情をするから、昔の事なんか思い出してしまったんじゃないか。
「着替えるから離せって…」
「着替えるんなら丁度いいじゃないですか。俺が脱がせてあげます」
しれっと言う野分は楽しげに笑みを浮かべている。昔はもっと可愛げがあったはずなのに…。
この余裕に腹が立つ。俺だけが翻弄されているみたいではないか。
「……おい。誰が脱がせていいと言った…」
当然のように俺の服を脱がせようとしている野分に一応の抵抗をしてみせるが、きっとこのまま流されてしまう自分の事が分かっていて悔しい。
俺が本気で抵抗しているわけではない事もお見通しの野分は手を止める事もせずに、小さく笑う。
その笑い方に、昔の野分の面影を見た気がして、なんとなく安心してしまう自分がなんだかおかしかった。
Fin.
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