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GF e-side

純情エゴイストへの愛を散らかし中。

2024'11.23.Sat
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2008'11.01.Sat
ヒロさんが本に埋まっている。
正確には、床に積まれた本の合間で、ヒロさんが横になって寝ている。

それが、休日の午後という中途半端な時間に仕事を終えて、家に入った俺が最初に見た光景。きっとまた、本の整理をしようとして引っ張り出した本をいつの間にか読み耽ってそのまま寝てしまった、とかだろう。

起こさないようにそっと近付いて、ヒロさんの側に腰を下ろす。
手を伸ばして明るい色の髪の毛を撫で、その手を移動させて頬を撫でても起きる気配はない。無防備な寝姿を晒す愛しい人は、大好きな本に囲まれて幸せな夢を見ているのかもしれない。

ふと思い付いて、周りの本をどけてスペースを作り、ヒロさんの横に寝てみる。
丁度、顔の位置がヒロさんの顔の目の前になるように。

俺のずっと先を歩くヒロさんの目には、世界がどのように映っているのだろう。
俺が一生懸命背伸びをしても、きっとそう簡単には追い付けない。ヒロさんは焦らなくていいと言ってくれるけど、やっぱり早くヒロさんと同じ世界を見られるようになりたい。
こんな風に横になって、ヒロさんの視線と同じ高さにしてみるなんて、子供っぽい事をしているという自覚はある。だけど、こうしていると少しだけヒロさんの目線で見る世界に近付けたような気がする。

しばらく寝顔を見つめていると、ヒロさんがゆっくりと目を開けた。何回かまばたきをして、まだ起ききっていないだろう頭で目の前の光景について考えているのかもしれない。

ヒロさんと同じように横になっている俺と目が合い一瞬驚いたような顔をした後、目を細めて睨まれる。
「………何やってんだ」
「ヒロさんを見てました」
本当にヒロさんを見つめていただけなので素直に告げると、言葉に詰まったヒロさんの顔が真っ赤に染まる。その様子があまりにも可愛らしく、抱きしめようと手を伸ばしたけど、ヒロさんはゴロンと寝返って背中を向けてしまう。

「まだ寝る」
ぶっきらぼうに言い放つヒロさんの表情は見えないけれど、耳はまだ赤い。
「こんな所で寝てたら風邪引きますよ」
「………じゃあお前が布団替わりになってろ」
「…はい!」

許可が下りたので、ヒロさんの背中を抱きしめる。
首筋に顔を埋めると、サラサラの髪の毛が当たってくすぐったくて、そしてヒロさんの匂いを感じて幸せな気持ちになる。

早くこの背中に追いつきたい。
堂々と肩を並べて歩けるような人間になりたい。
まだ時間はかかるかもしれないけど、俺、頑張ります。

だから、たまにはこうやって甘えさせてくれると嬉しいです。
「ヒロさん、好きです。大好きです」
囁くように告げると『布団は喋んな!』と、ヒロさんに回した腕を叩かれた。

Fin
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