GF e-side
純情エゴイストへの愛を散らかし中。
2009'02.19.Thu
「ヒロさんの事が好きです」
そのキラキラと光る言葉は心に幸せを満たして行く。
そのキラキラと光る言葉は心に幸せを満たして行く。
ベッドの中で目覚めて最初に感じたのは、後ろから俺を抱きしめたまま寝ている野分の肌の熱さ。お互いの素肌を通して直接伝わる熱は子供のように温かい。
今、何時だろう。今日は二人共休みだから時間を気にする必要はないのだが何となく気になる。しかし見える範囲に時計はない。枕元に目覚まし時計が置いてあるのは分かっているのだが、それを取るには絡みついている野分の腕を解かなければならない。
(…ま、いいか)
一瞬の逡巡の後、時間を知る事を諦める。気持ち良さそうな寝息を立てている野分の眠りを妨げたくなかっただけだ。このまま抱きしめられていたいとかでは、決してない。
身に付いた習慣で、休日でも平日の起床時間に目が覚めてしまう事がある。カーテンの隙間から漏れる明るさからしてそれ位の時間だろうと検討をつける。
野分が寝ているのをいい事に手を取って指を絡めてみると、手のひらも同じようにあたたかかった。
多分、俺は寝ぼけていたのだろう。
そうでなければあんな事はしなかった筈だ。
そのまま手を唇に近付け、野分の指にキスをするなんて事は。
『好き』なんて言葉、恥ずかしくて言えない。
何年も付き合って何回言っただろうか。かと言ってきちんと態度で表しているかというと、それも怪しい。俺に出来るのは、こうやって本人が見ていないところで気持ちを告げる事ぐらいだ。
好きで好きで堪らないのに、それを素直に表す事の出来ない自分の性分を呪う。野分にきちんと気持ちは伝わっているのだろうかと不安になり、大好きだという気持ちを込めて唇を強く押し当てた。
繋いだ手が軽く握り返して来たような気がした。
そういえばさっきまで規則正しく聞こえていた寝息が聞こえない。
「…おい。お前起きてるだろう」
「……寝てますよ。ヒロさんがキスしてくれるならずっと寝てます」
くすくすと笑うような口調でしれっと言う。やっぱり起きてやがった!
「俺はそんな事しねーから、目が覚めたんならさっさと起きろ」
「さっきしてくれました」
「気のせいだ。夢でも見てたんだろ」
「夢じゃないです。手にヒロさんの唇の感触が残ってますから」
「恥ずかしい事ぬかすな!ボケ!」
先程自分がした行為を思い出して今更ながら恥ずかしくなる。言葉にできないのならあれ位…とも思ったのだが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「ヒロさん」
名前を呼ばれてトクンと心臓が跳ねる。
「好きです。大好きです」
しっかりと抱き寄せられて、飽きもせずに繰り返される言葉が降り注ぐ。
耳にかかる息がくすぐったいのか、告げられた言葉がくすぐったいのか分からなくなって来る。
一つだけ分かるのは、今すごく幸せだという事。
これはまだ夢の中なのだと自分に言い訳しながら、もう一度、野分長い指にキスを落とした。
Fin
今、何時だろう。今日は二人共休みだから時間を気にする必要はないのだが何となく気になる。しかし見える範囲に時計はない。枕元に目覚まし時計が置いてあるのは分かっているのだが、それを取るには絡みついている野分の腕を解かなければならない。
(…ま、いいか)
一瞬の逡巡の後、時間を知る事を諦める。気持ち良さそうな寝息を立てている野分の眠りを妨げたくなかっただけだ。このまま抱きしめられていたいとかでは、決してない。
身に付いた習慣で、休日でも平日の起床時間に目が覚めてしまう事がある。カーテンの隙間から漏れる明るさからしてそれ位の時間だろうと検討をつける。
野分が寝ているのをいい事に手を取って指を絡めてみると、手のひらも同じようにあたたかかった。
多分、俺は寝ぼけていたのだろう。
そうでなければあんな事はしなかった筈だ。
そのまま手を唇に近付け、野分の指にキスをするなんて事は。
『好き』なんて言葉、恥ずかしくて言えない。
何年も付き合って何回言っただろうか。かと言ってきちんと態度で表しているかというと、それも怪しい。俺に出来るのは、こうやって本人が見ていないところで気持ちを告げる事ぐらいだ。
好きで好きで堪らないのに、それを素直に表す事の出来ない自分の性分を呪う。野分にきちんと気持ちは伝わっているのだろうかと不安になり、大好きだという気持ちを込めて唇を強く押し当てた。
繋いだ手が軽く握り返して来たような気がした。
そういえばさっきまで規則正しく聞こえていた寝息が聞こえない。
「…おい。お前起きてるだろう」
「……寝てますよ。ヒロさんがキスしてくれるならずっと寝てます」
くすくすと笑うような口調でしれっと言う。やっぱり起きてやがった!
「俺はそんな事しねーから、目が覚めたんならさっさと起きろ」
「さっきしてくれました」
「気のせいだ。夢でも見てたんだろ」
「夢じゃないです。手にヒロさんの唇の感触が残ってますから」
「恥ずかしい事ぬかすな!ボケ!」
先程自分がした行為を思い出して今更ながら恥ずかしくなる。言葉にできないのならあれ位…とも思ったのだが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「ヒロさん」
名前を呼ばれてトクンと心臓が跳ねる。
「好きです。大好きです」
しっかりと抱き寄せられて、飽きもせずに繰り返される言葉が降り注ぐ。
耳にかかる息がくすぐったいのか、告げられた言葉がくすぐったいのか分からなくなって来る。
一つだけ分かるのは、今すごく幸せだという事。
これはまだ夢の中なのだと自分に言い訳しながら、もう一度、野分長い指にキスを落とした。
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