GF e-side
純情エゴイストへの愛を散らかし中。
2008'05.16.Fri
ヒロさんと待ち合わせをすると、大体俺の方が遅れて待ち合わせ場所に着く。
いつものように俺が「遅れてすみません」と謝ると、いつものようにヒロさんは「別に大して待ってないし」とうそぶく。
嘘ばっかり。
冬は体が冷え切っているのを知ってるし、夏は平気そうな顔をしていても汗びっしょりになっているのを知っている。それを指摘したりしたら、ヒロさんが暴れ出すのは目に見えているので、言えないけど。
そんなある日の待ち合わせ。ヒロさんは一体どれ位前から待っているのかとふと気になり、待ち合わせの一時間も前に行ってみる。流石にまだヒロさんはいないだろうと思った通り、待ち合わせ場所にヒロさんの姿はなかった。俺は待ち合わせ場所から少し離れた所で、ヒロさんが来るのを待つ。
ヒロさんはどんな顔をして来るのだろう。
どんな顔をして俺を待っていてくれるのだろう。
7年も付き合って、同じ家に住んでいるというのに、まだまだ俺の知らないヒロさんの顔がある。
と、その時、ヒロさんがやって来た。驚いて時計に目をやると、俺が来てからまだ15分しか経っていない。つまり、待ち合わせ45分前。外はまだ風が冷たいというのに、植え込みの横に腰掛け、手袋もしないで、持参した本を読み出すヒロさん。その一連の流れに淀みがなく、待ち慣れている様子が伺える。
じっと俺が見つめる視線にも気付かずに、黙々と本を読むヒロさん。なんだか少し味気ない、と思ってしまうのは贅沢だろうか。もっと俺が来るのをそわそわしながら待っていて欲しかった?キョロキョロと俺を探して欲しかった?俺はどれだけヒロさんに望めば気が済むのだろう。
10分程ヒロさんを観察し、俺はヒロさんの元へ向かう。これ以上ヒロさんを待たせてはおけない。
「ヒロさん」
「おう、野分。早かったな」
俺が声を掛けると、ヒロさんは本から顔を上げ、笑顔をこちらに向ける。
…ああ、俺はこれ以上何をヒロさんに望むのだろう。今、ヒロさんのこの笑顔が向けられるのは、自惚れではなく自分だけだと分かっているのに。
「すみません、ヒロさん」
「ん?なんだ?」
「実はヒロさんより早く着いたんですけど、俺を待っているヒロさんを見たくて遠くから見てました」
何を思ったのか思わず言ってしまう俺。
「はぁ?!ふざけんな!くだらない事してないで、さっさと声掛けやがれ!」
案の定怒るヒロさん。でも、本気で怒っているわけではない事は経験で分かる。
「はい、すみません」
「謝りながらにこにこ笑ってんじゃねーっ!」
持っていた本でぽかりと頭を叩かれてしまった。相変わらず乱暴な人だなあ。
すみません、と言ってヒロさんの手を取ると、案の定冷たくなってしまっている。
寒空の中、俺のせいで待たせてしまって本当にごめんなさい、ヒロさん。
「のーわーきーっ。人が多い場所で手とか握んなって言ってんだろ?!」
ヒロさんは繋いだ手をブンブンと振る。でも、これも本気で嫌がっているわけじゃない事も知っている。
「じゃあ、行きましょうか、ヒロさん」
「てめー、聞いてんのか?野分っ!」
冷たくなってしまったヒロさんの手を引いて歩く。
俺の手で、少しでも温めてあげられるように。
温かくなったら、ぬくもりを二人で分かち合えるように。
Fin
--
初エゴSS。ヒロさんの事だから本を読みながらも野分の事を考えているような気もします。
お題は『綺羅星-Kiraboshi-』様から頂きました。
ヒロさんはどんな顔をして来るのだろう。
どんな顔をして俺を待っていてくれるのだろう。
7年も付き合って、同じ家に住んでいるというのに、まだまだ俺の知らないヒロさんの顔がある。
と、その時、ヒロさんがやって来た。驚いて時計に目をやると、俺が来てからまだ15分しか経っていない。つまり、待ち合わせ45分前。外はまだ風が冷たいというのに、植え込みの横に腰掛け、手袋もしないで、持参した本を読み出すヒロさん。その一連の流れに淀みがなく、待ち慣れている様子が伺える。
じっと俺が見つめる視線にも気付かずに、黙々と本を読むヒロさん。なんだか少し味気ない、と思ってしまうのは贅沢だろうか。もっと俺が来るのをそわそわしながら待っていて欲しかった?キョロキョロと俺を探して欲しかった?俺はどれだけヒロさんに望めば気が済むのだろう。
10分程ヒロさんを観察し、俺はヒロさんの元へ向かう。これ以上ヒロさんを待たせてはおけない。
「ヒロさん」
「おう、野分。早かったな」
俺が声を掛けると、ヒロさんは本から顔を上げ、笑顔をこちらに向ける。
…ああ、俺はこれ以上何をヒロさんに望むのだろう。今、ヒロさんのこの笑顔が向けられるのは、自惚れではなく自分だけだと分かっているのに。
「すみません、ヒロさん」
「ん?なんだ?」
「実はヒロさんより早く着いたんですけど、俺を待っているヒロさんを見たくて遠くから見てました」
何を思ったのか思わず言ってしまう俺。
「はぁ?!ふざけんな!くだらない事してないで、さっさと声掛けやがれ!」
案の定怒るヒロさん。でも、本気で怒っているわけではない事は経験で分かる。
「はい、すみません」
「謝りながらにこにこ笑ってんじゃねーっ!」
持っていた本でぽかりと頭を叩かれてしまった。相変わらず乱暴な人だなあ。
すみません、と言ってヒロさんの手を取ると、案の定冷たくなってしまっている。
寒空の中、俺のせいで待たせてしまって本当にごめんなさい、ヒロさん。
「のーわーきーっ。人が多い場所で手とか握んなって言ってんだろ?!」
ヒロさんは繋いだ手をブンブンと振る。でも、これも本気で嫌がっているわけじゃない事も知っている。
「じゃあ、行きましょうか、ヒロさん」
「てめー、聞いてんのか?野分っ!」
冷たくなってしまったヒロさんの手を引いて歩く。
俺の手で、少しでも温めてあげられるように。
温かくなったら、ぬくもりを二人で分かち合えるように。
Fin
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初エゴSS。ヒロさんの事だから本を読みながらも野分の事を考えているような気もします。
お題は『綺羅星-Kiraboshi-』様から頂きました。
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